カンガルー産業協会便り

カンガルー産業の仕組み

オーストラリア政府のNational Parks & Wildlife Service(国立公園・ワイルドライフサービス)は、毎年カンガルーの生息地上空を低空飛行し、カンガルー頭数を集計します。過去20年以上にわたるこれまでの経験でその頭数集計方法は年毎に正確になってきています。

カンガルー生息頭数が判明した段階で、天候などの自然状況を加味そして頭数が減少しないレベルを確認したうえで翌年の捕獲枠を設定します。通常、全生息数の15-20%程度となります。

捕獲枠が決定した段階で政府は、枠に応じた捕獲札を発行します。捕獲許可を持ったハンターはそれを購入し、カンガルーを捕獲するごとに札を堵体に添付しなければなりません。そして捕獲札の添付されたカンガルー堵体のみが加工工場に送られることとなります。このプロセスについては政府担当部署によって厳しく監視され、ここで許可された以上のカンガルーが捕獲されることを防いでいます。

全てのカンガルー捕獲業者は、政府が認定した研修コースを受けたうえで合格し、ライセンスを保持していなければなりません。コース内容は、捕獲管理、衛生管理、動物愛護関連法律等からなっています。さらに捕獲器具についても政府検査官の認定を受けなければならず、また捕獲方法についても“National Code of Practice for the Humane Shooting for Kangaroos and Wallabies for Commercial purposes”という捕獲基準を厳密に遵守しなければなりません。

捕獲されたカンガルーは、政府の認可を受けた工場へ運び込まれ、皮剥ぎ、骨抜き作業後さまざまな製品に加工されます。これらの全ての作業には政府認定検査官の監督のもとで食肉衛生・疾病管理が行われます。

カンガルーはとても健康な動物として知られており、既存の家畜動物が罹っている病気を持っていません。これは当然といえば当然で、野生動物が病気になれば死ぬしかないのですが、家畜は人間が治療して健康をコントロールしています。例えば、食肉工場で病気によるカンガルーの廃棄率は0.7%に過ぎず、既存の羊や牛の廃棄率の半分から1/3となっています。

“A Taste of Kangaroo”   Sept. 2008

ルーミート(カンガルー肉)がニューサウスウェ-ルズ州議事堂内で試食される。

試食会は、Department of State & Regional Development(ニューサウスウェ-ルズ州・地域開発局)http://www.business.nsw.gov.au/newsroom/news_20080924_kangarooevent.htm 
とオーストラリアカンガルー産業協会の共催という形で9月末に実施されました。

試食会では、シドニー在住5人の有名シェフによるルーミート(カンガルー肉)料理が出され、同時に有識者、産業界代表、政府関係者によるパネルディスカッションが行われました。

ルーミートは、低脂肪・高蛋白、共役リノール酸の含有等の健康食肉という側面で注目を浴びていますが、最近では地球温暖化ガス減少にも役立てるということで、オーストラリアの官民揃ってその普及に乗り出しています。

2009年度カンガルー捕獲枠が決定

2009年度のカンガルー捕獲枠が決まりました。
今年の枠は398万頭です。
これまで干ばつの影響で捕獲枠は減少傾向でしたが、今年から増加に転じています。

KIAA(オーストラリアカンガルー産業協会)2006年10月号 会報より

“食品の真相!”
ポール・ジョーンズ氏(ウォーウィックヘルスサービス栄養士)著
2006年9月23日付ウォーウィックデイリーニュース記事

カンガルーミートはどのくらいヘルシーなのか??

この数週間にカンガルーミートは地元のスーパーマーケットの定番商品になりました。実際、他の肉類に比べてどのくらいヘルシーなのでしょうか?

カンガルーミートは、牛肉の赤身に似た味ですが、やや強いです。

脂肪含有量はとても低く、部位に関わらず1%程度です。脂肪分は主に単不飽和脂肪酸と多不飽和脂肪酸で構成されていますが、 カンガルーミートは肉類に多く含まれる飽和脂肪酸値が他の肉類に比べて極端に低いです。 それに比べて牛肉の中でも一番脂肪分の少ない部位(赤身)の脂肪含有量は6%近くあります。CSIRO(豪州科学・工学研究機構)が 発表した報告書によると、カンガルーミートは他の肉類と比べて共役リノール酸(CLA)を多く含んでいる事が記載されており、 動物実験では肥満や心臓疾患のリクスが減ることも判明しました。このことにより、カンガルーミートは流通している肉類の中で 最もヘルシーであると言えます。そういった理由から国立心臓病財団もカンガルーミートを推奨しています。 また鉄分が非常に豊富に含まれています。

それでは他の肉類に比べて価格はどうでしょうか?カンガルーミンチは牛肉ミンチより安いです。 カンガルーフィレは、牛肉のフィレステーキより安く、脂肪分や骨を取り除く必要がないので、より経済的です。 カンガルーミンチは、牛肉ミンチの代替として使うことができ、また料理によりコクのある風味を引き出す事ができます。 しかしながら他の部位は脂肪分がさらに低いので、違った調理法をした方が良いと思います。 カンガルーミートはあまり火を通しすぎると固くなってしまいますが、いくつか回避するよい方法があります。

ひとつは、調理する15分前にオイルに漬けておく方法です。オイルの量はあなたの好きな風味により異なります。 カンガルーミート独特の強い味がお好きな方は表面に軽く塗る程度で十分です。多量のオイルに漬けると独特の風味が薄くなります。

(*注釈:オーストラリアでは、カンガルーミート独特の強い味が好まれているようです。カンガルーミート独特の匂いが苦手な方は、 調理する前に30分程度オイルに漬けておくことをお勧めします。)

カンガルーミートは高温で手早く調理するのがコツです。焼く場合は、両面それぞれ数分程度で十分です。



Kangaroo Industry Association of Australia Oct 2006
www.kangaroo-industry.asn.au, kiaa@bigpond.net.au

‘Food Facts!’
with Paul Jones, Dietitian/Nutritionist Warwick Health Services
published in the Warwick Daily News on 23-9-2006


How healthy is kangaroo meat??
In the last few weeks kangaroo meat has become a regular line in our local supermarkets. But how healthy is it, and how does it compare to other meats?

Kangaroo is a red meat, with a taste a bit like beef, but stronger.

The fat content is very low, usually about 1%. The fat which is present is mainly monounsaturated and polyunsaturated, with an extremely low level of saturated fat. Compare this to some of the leanest cuts of beef, which are closer to 6% fat. A CSIRO report in 2004 found kangaroo to be on of the highest known sources of a fat CLA (conjugated linoleic acid), which in animal experiments has been found to reduce the risk of obesity and heart disease. This makes kangaroo one of the healthiest types of meat available. It has been approved by the Heart Foundation’s tick program. It is also high in iron.

Cost compares well to other meats. The mince is cheaper than beef mince. The fillets were cheaper than premium cuts of beef and steaks also compared well in a price comparison with similar cuts of beef. There is no fat or bone to be trimmed, which makes it more economical to purchase.

Kangaroo mince can be used in the same way as beef mince, and can give mince dishes a richer flavour. However, other types of kangaroo meat may need to be cooked differently because of the lower fat content. If it is over-cooked, it can get a bit too chewy. But there are ways to avoid this.

Soaking the meat in some oil 15 minutes before cooking can help. How much oil you use depends on the flavour you like. If you like a strong flavour, don’t use much (maybe just a brush). Soaking the meat in a lot of oil can dilute the flavour.

The meat should also be cooked quickly, at a high temperature. Usually a few minutes on both sides is enough.

The author can be contacted at email dietitian4370@hotmail.com